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テルミナ王朝の研究第一人者であるアレクス・アンドリュー博士の著述による。
神聖暦317~707年(世界暦4~8C)にアルラダ地方に存在していた王朝。
古神聖カシェル王国(神聖暦40~316)の後継として建った為、王朝と称する。
支配体制は神託を告げる「神子」と実務を司る「王」、その下に貴族による議会となる。
身分制度は時代ごとに厳格となり、末期に位を越えて出世することは稀であった。
軍は神子と王が所持するが、神子の軍隊はあくまで神子警備が目的で、その数は30ほどである。
神子と王は共に17代まで。この血統は同一であり、数度に渡って近親婚が行われている。
17代の王は側近によりクーデターを起こされ殺されるが、その数ヶ月後、災害により国ごと崩壊する。
以後長い年月に渡り、この地は不毛の地、呪われた地として人々を遠ざけ、風化し、砂に埋もれた。
更に後年、遺跡は地下に沈み、長らく人々の目から遠ざけられていたが、近年になって発掘調査が進み、2630年の40回で終了。
第1回から発掘調査に参加したアレクス・アンドリュー博士はテルミナ王朝研究の第一人者である。
例外として吟遊詩人の歌にこの王朝に関する叙述があるとする研究者もいるが、学会ではこれを異端としている。
なお、【Telmyna】と表記し、「テルマイナ」と読むが、現地語では「テルミナ」と表記・発音する。
博士が史料を読み解く際、アルラダ地方とルティア地方の言語が非常に似通っており、ルティア語の方が古い形体であったことが判明したため、ルティア語による言語解釈を中心としている。
テルミナ王朝に於いて王と神子とは同列に語られるものである。
古神聖カシェル王国では両者は同一のものであり、そのため「神王」という称号であったが、テルミナ王朝においては別個の存在となり、例外は9代と16代である。
初め、王は神子を補佐する立場としてあったが、実際の政務は王が執り行い、神子はこれにより煩雑な仕事から逃れ、より神へと近づいたという。王と神子の関係は非常に深く、この両者が溝を深くすることは即ち王朝の危機を示すものでもあった。
総称して神子、とりわけ女性は神女と表記される。これは神聖王国に於いて神への舞踊により神託を受けるとされていたためであり、初期はこの影響が強いためである。
(4代神女が病弱であったのと、踊りを経ずに神託を受けられたことを理由に以後神への舞踊は廃れていき、6代で絶える)
神子の最も特筆すべき特徴は、その瞳である。神子を継ぐ条件として、その瞳が紫であることが挙げられる。
これは神聖王国の王の血統にしばしば現れる特徴であり、その瞳を「カプレシルメント」と呼んでいる(語源は不明)。
テルミナ王朝は神子を排出し続けており、神聖王国の後継であると自負するに足る、そして後継を自称した数々の国の中で最も長い覇権を得た理由であろう。
王の血統において、遠い血縁と婚姻を行う儀式を指す。
行われたのは三度ほどで、一度目は7代王と2代王の直系であり、これは本来王位を継ぐべき2代王の末裔にそれを返すためであった。
二度目は婚儀によって紫の瞳を得やすくするためであった。神子の血統であった2代神子コブナックの直系では、およそ80年に渡り紫の瞳が生まれなかった。この為、ヴァロイ王の娘の家系と婚姻を結び、その血を濃くすることで紫の瞳を得ようとしたがそれは叶わず、三代後に再び行われたものの結実せず、やがてこの儀式も有名無実化した。